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「神様神様チンクルホイ」 [読んだ本 / 好きな文章]


おやすみプンプン 1 (1) (ヤングサンデーコミックス)

おやすみプンプン 1 (1) (ヤングサンデーコミックス)

  • 作者: 浅野 いにお
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2007/08/03
  • メディア: コミック


おやすみプンプン 2 (2) (ヤングサンデーコミックス)

おやすみプンプン 2 (2) (ヤングサンデーコミックス)

  • 作者: 浅野 いにお
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2007/12
  • メディア: コミック

『週刊ヤングサンデー』に連載されている漫画です。
通称ヤンサンことヤングサンデーはいわゆる青年誌というやつで、表紙はたいてい悩ましいポーズをしたグラビアモデルが多い。だから、「青年」以外の人はなかなか手に取りづらいかもしれないけれど、これはむしろそんな層に好きな人が多い漫画じゃないかしらんと思いました。

まず主人公の小学生・プンプンにぶったまげます。基本的に点と線(松本清張?)で描かれていて、人間の形をしていない。それこそ小学生が落書きで描いた鳥のような何か、そう、表紙に出ている得体の知れない生き物です。ただ、他の登場人物や漫画そのものはむしろきっちり描かれていて、そのギャップにまず妙な違和感と同時に不思議な面白さを覚えるのです。登場人物もプンプンの容姿については誰も突っ込まない。これ以外にもクスクスと笑える箇所はたくさんあって楽しいです。

しかし、この漫画をオススメしたい一番の理由はそのストーリー(ていうか脚本?あらすじ?漫画の場合なんて言うんですかね?)。
プンプンには家族(これも点と線な!)がいますが、決して幸福な家庭とはいえません。オトナの勝手な事情で少年にとっては厳しい試練が続き、プンプンが孤独感を深めていく中、自分の「少年時代」にどう決別するか、その様がダイナミックで素晴らしいんです。

確かに少年の自我の目覚めだとか、親や友だちとの関係性なんていうのは使い古された古典的テーマかもしれない。けれど、この作者ぐらい真正面から描いてくれれば、それは全然アリじゃないでしょうか。そしてそのカビの生えたテーマには、点と線で描かれた不思議な生き物こそ物語を抽象化・普遍化するという意味においてピッタリだとも思ったのです。ご清聴ありがとうございました。
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