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いっちょ、スミオってきた [アート的なアレ]

RIMG1104.JPG東京・用賀(らへん)にある世田谷美術館にて「川上澄生:木版画の世界」(現在は終了)を観てきました。昭和の版画家、川上澄生の作品を集めた展覧会です。

やっぱりというか、いつも通りというか、オレが川上澄生という作家を知ったのはテレ東『美の巨人たち』を通じてで、彼の代表作「初夏(はつなつ)の風」を特集した回を観たときが最初でした。それ以来、すっかりファンになってしまって、けれども本物を拝む機会がなかなかなく、今回ようやっと念願かなった形です。

ここでちょっとズルっこして、美術館のサイトから川上澄生の略歴についてピーコさせていただきますね。
横浜に生まれ、東京で育った川上澄生(1895[明治28]-1972[昭和47])は、1921年、26歳のとき、宇都宮で旧制中学の教員になるとともに、本格的に木版画の制作を手がけるようになりました。その後、戦中戦後の4年ほどを除けば、他界するまでのおおよそ50年間を、一教員としてこの地で過ごし、その間、市井の一隅にあって日々の暮らしのなかから、そして遠く江戸期や明治期への憧憬、少年時代への郷愁のなかから、独自の画趣を紡ぎだし、ひたすら木版画の世界に刻みつづけていったのです。

RIMG1099.JPG川上澄夫の版画を好きな理由。
それは、生涯をかけて黙々と作り続けた作品に、共通した「こじんまり感」というか、手作業の匂いが感じられること。うーん、上手く書けないな。とにかく、その版画には、いわゆる作家先生の大仰さはなくて、近所のおじさんが彫ったような身近な親しみを強く覚えます。さらにその作風にある種の「切なさ」みたいなものがあるときてるから、セツナ好きとしてはこたえられない。
また別の理由として、ユーモアの精神があふれているところも大好き。「ギャハッハ」というような豪快な感じではなくて、一人でこっそり見てクスクスとニヤけてしまうようなユーモアがたまらないんです。

で、今回の展覧会にて初めて本物を見ることができたわけですけど、どれもやっぱり素敵だった。とりわけ、若かりしスミオがカナダに渡ったあと、アラスカの罐詰工場(!)で働いていたときに製作した『アラスカ物語』がすごく良い。異国の地にひとりぼっちで重労働。いったい何を感じて、何を思ったのだろう。

RIMG1277.JPG帰ってからなんとなく考えたこと。人が絵(あるいは作品)を見るとき、そのもの自体の美しさや技巧に感銘を受けることは大いにあると思う。でも、その絵を通じて作り手の息づかいや喜怒哀楽を感じたときに、また何か次元の違う喜びが見つけられる。これってとてもすごいことだ。みなさーん。いま、このおっさんが大変キモいこと書いてまーす。

左の写真が今回の獲物です。ほんとは売店にあるポストカードぜんぶ欲しかったけど、逼迫する財政事情のもと泣きながら厳選した4枚がこちら(左上から『へっぽこ先生』(自画像)、『初夏の風』、『虹(アラスカ物語)』、『星空の乾杯』)。それと、普段なら画集なんかは買わないのに、今回ばかりはどうしても、ね。

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【世田谷美術館】

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