11月頃に観た [映画やドラマ (アメリカ以外のやつ)]
『ステキな金縛り』
2011年日本/監督:三谷幸喜
http://www.sutekina-eiga.com/
三谷監督の前作『ザ・マジックアワー』がとても面白かったから期待して観に行きました。したら、やっぱり面白かった! 西田敏行の飄々(ひょうひょう)とした様にどうしても笑っちゃう。これでもかっていうぐらいの豪華キャストも楽しいね。生瀬さん最高。今回もエンディング、というかエピローグみたいな部分がちょっとダラダラしていて蛇足っぽかったとは思うけど、それを差っ引いても充分満足させてもらいました。
2011年日本/監督:三谷幸喜
http://www.sutekina-eiga.com/
何をやってもダメな弁護士・宝生エミ(深津絵里)が担当する今度の裁判は殺人事件。弁護を任された被告人は無実を主張、そのアリバイは「旅館で落ち武者(西田敏行)の幽霊により金縛りにあっていた」という荒唐無稽なものだった。しかし、エミはその落ち武者を裁判の証人として出廷させることを思いつき…というお話。
三谷監督の前作『ザ・マジックアワー』がとても面白かったから期待して観に行きました。したら、やっぱり面白かった! 西田敏行の飄々(ひょうひょう)とした様にどうしても笑っちゃう。これでもかっていうぐらいの豪華キャストも楽しいね。生瀬さん最高。今回もエンディング、というかエピローグみたいな部分がちょっとダラダラしていて蛇足っぽかったとは思うけど、それを差っ引いても充分満足させてもらいました。
るい丸の二本立て [映画やドラマ (アメリカ以外のやつ)]
年端もいかない女の子ザジ(カトリーヌ・ドモンジョ)。母親に連れられて憧れのパリへ来たは良いものの、乗ることを楽しみにしていた地下鉄はあいにくストの決行中。おまけに母親はザジを叔父(フィリップ・ノワレ)に預け、彼氏とどこかへ遊びに行ってしまう。残されたザジは、行く先々でそのおてんばぶりを発揮してはオトナたちを振り回し…というお話。
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自らが勤める会社の社長夫人(ジャンヌ・モロー)と親密な仲にある男(モーリス・ロネ)は、自殺に見せかけて社長を殺してしまう。しかし、その犯行後、現場に置き忘れた一本のロープを取りに戻ったことから、完璧と思われたその企みはほころびはじめ…というお話。
そんで、この日の2本目。同じルイ・マル監督によるものです。『ザジ』を観て、マルちゃんったら茶目っ気たっぷりの映画を撮るんだからぁ~、次のはまたどんな素敵シネマなのかしらぁ~…なんて思いながらトイレから帰ってきたら一転、笑いゼロなのな。シリアスなのな。あるいはスタイリッシュって言うんですかね。
でも、主役の男は仕事の出来る切れ者っていう設定のハズなのに、犯行現場に致命的な忘れ物したり、本人のせいじゃないにしろエレベーターに閉じこめられたり、なかなかの間抜けではあるまいか。名作にそういうこと言っちゃダメ?
ひさびさ大森 [映画やドラマ (アメリカ以外のやつ)]
自転車選手としてレースに参加していた若者が、謎の男たちにさらわれた! 愛する孫を取り戻さんと、彼の祖母と一頭の犬は遠く離れた街・ベルヴィルまで乗り込む。すると、不思議な老女三人組と出会って…というお話(ほんとに下手なまとめですんません)。
東京・大森の駅前にある西友の中の「キネカ大森」にて。ここは前にも来たことがあるんだけど、何を観たんだっけなー。ぜんぜん思い出せない。この映画館はスクリーンが2つしかないながらも、切り抜きを集めて作ったお手製ポスターやら昔の映画のパンフレットがどっさり置いてあったりして、なかなか良い雰囲気です。
そんで、この日の一本目であるところのフランスのアニメ。むかーし、友だちからオススメされていたことがずっと頭に引っかかっていて、これぞチャンスとばかりに環七ぶっ飛ばして突っ込んでみたんですけど、なにこれ、すごーく面白い! 楽しかった! セリフはほとんど無いし、絵もめちゃくちゃにデフォルメされまくってて非常に変。けれど、素敵な音楽と独特のユーモアセンスに彩られた本作に、冒頭の舞台シーンを見るや否や私はすぐさま引きずりこまれてしまったのである(誰?)。そんで、気づくとそのめちゃくちゃなデフォルメにハマっているという。ストーリーも愉快痛快で、そのドタバタぶりが楽しい。
アニメを通じてやたら語りたがる作家さんがいる中、自然環境と人間の共生がどーだのこーだのみたいな説教臭さがこれっぽっちもなかったところも助かりました。もともとそんな話じゃねえしね。
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オーストラリアに住む少女メアリー(声:トニ・コレット)は、学校ではその容姿でいじめられ、家庭でも愛情に恵まれない生活を送っていた。そんな彼女が、ふとした思いつきで、住所録を使って探した見ず知らずの相手に手紙を出してみる。相手はニューヨークに住む孤独な中年男性マックス(声:フィリップ・シーモア・ホフマン)。お互いに甘いもの好きというささいな共通点から文通が始まるが…というお話(ほんとに下手なまとめですんませんアゲイン!)。
この日の2本目。「オーストラリアのクレイアニメ」っていう程度の予備知識しか持たずに観たんですけど、なにこれ、めちゃくちゃ重い…。たぶん実写の映画だったら耐えられないかもっていうぐらい。ただ、主人公たちの苦しみを真正面から描いているから、鑑賞後に嫌な感じは残らなかったです。こういう悩みを抱えている人がこの映画を観たら、どういう感想になるのかな。
エンドクレジットで知ったのは、声優陣の豪華さ。フィリップ・シーモア・ホフマンにトニ・コレットって。さらにエリック・バナまで出とる。インディーズ映画じゃなかったん? ともあれ、2本とも観てよかったよー。
戸田なっちゃん風に言うなら『ドクター・ジバゴ』 [映画やドラマ (アメリカ以外のやつ)]
20世紀初頭、激動のロシア。医学生ジバゴ(オマー・シャリフ)は、17歳の美しいラーラ(ジュリー・クリスティ)と運命的な出会いを果たす。時は流れ、二人はそれぞれに家庭をもち、凄惨な戦場にて医師と看護婦という立場で再会するも、第一次大戦やロシア革命が立て続けに起きる時代の荒波に翻弄されて…というお話。
およそ映画に関して知らぬことなどないというおまえらにおかれましては、去年からやっている「午前10時の映画祭」は当然チェック済みですよね。各地の特定の映画館で、投票により決まった過去の名作100本を一週間ごとに1本ずつ午前10時から上映するという企画です。オレは去年の中ごろ知ったんだけど、観たい映画が何本もあったのに早起きできず、不覚にも今回の『ドクトル・ジバゴ』で祭りに初参加と相成ったわけです。
そもそも、この映画が気になったきっかけ。それは、アクションラブバイオレンス超絶名画『トゥルー・ロマンス』において、主人公クラレンスが麻薬を指す(彼独自の)隠語として『ドクトル・ジバゴ』を挙げていたからに他ならぬ。気になってから何年経ってんだよ、おまえ…。
とまれ、いやー、大作感ただよう作品でした。大河ドラマっつうんですか、時代の大きなうねりの中で男女の悲哀に満ちた人生を壮大なスケールで描いてくれちゃってて、3時間20分という上映時間にオレのケツは悲鳴をあげていました(しかも、みんながトイレに殺到する途中の休憩時間がたった3分しかなくて、それはちょっと短すぎだよTOHOシネマズ府中!)が、いかにも昔の映画っぽい作りがグー。雰囲気として『風とともに去りぬ』をちょっと思い出した。正直言うと、この映画を自分んちの小さいテレビで観てたら、たぶん「長い映画だなあ」ぐらいしか思わなかっただろうけど、やっぱり映画館ならではの楽しさで飽きなかった。あと、作品の冒頭で映像が流れないままに5分ぐらい延々とオープニング曲(?)が流れたのには面食らった。
上記の下手くそあらすじには盛り込めませんでしたが、ストーリーはもうちょっと複雑です。親を亡くしたものの裕福な家庭に引き取られた主人公と、理想高き貧乏学生の婚約者がいるのに金持ちのおっさんに目をつけられる若き美人、二人それぞれの境遇が描かれるのが前半。後半は、お互いに家庭をもったジバゴとラーラが時代の変革にもまれながら惹かれあい、けれど運命は…みたいな。個人のささやかな幸せと、時代の大きなうねり、あるいは雄大なロシアの自然とを対比させながら描いてた。気がする。
もしこれを観るなら、おおざっぱでいいから20世紀初頭にロシアからソビエト連邦が成立した経緯をおさらいしとくといいかも。「ボリシェヴィキ」とか「白衛軍・赤衛軍」とか、ふだん西友では見かけないような単語が出てきます。「ぼく/わたし、高校んとき世界史とらなかったから」を免罪符代わりに、しれっとだんまり決め込むオレやキミのため、以下、ロシア革命のまとめコーナーです。
【19世紀末】以上、ビキガミ彰の解説でした。
やべー、このまま農業国じゃ置いてかれちゃう! とばかりに西欧の真似っこして資本主義をすすめる→貧富の差や社会問題が激化→庶民がブースカ言い始める
【1905年(日露戦争の最中)】
第一次ロシア革命が起こる→でも皇帝はまだ居すわる→国民の不満をそらすために、領土拡大をたくらむように
【1914年】
第一次世界大戦勃発、ロシアはドイツと交戦→でもなかなか終わらない→物資不足で民衆いよいよブチ切れそう
【1917年3月】
首都で労働者の大規模ストライキが発生→政府が辞職・ついに皇帝が退位、臨時政府が樹立される。でも臨時政府は戦争を続けたために、不満なくならず
【同年11月】
レーニンが指導するボリシェヴィキ(=共産党の前身)が武装蜂起して臨時政府を打倒、ソヴィエト政権を樹立→以後、独裁体制になり、個人の土地や企業などを国有化。ジバゴの家もとられちゃう。3月と11月それぞれの革命をまとめて「第二次ロシア革命」と言うらしい。
ところで、午前10時からだし、いくら有名っつったって何十年も前の映画だし、どうせガラガラなんだろうなーとか思ってたらアータ! そんなに狭くもないスクリーンで、客席は(最前列3列の離島みたいなとこは除いて)8~9割方埋まっていたよ! この企画、人気あるんだね。
オレも左サイドを同年代ぐらいのお姉さんに、右サイドを熟年夫婦にがっちりガードされつつ、やっぱりこの映画ってお父さんお母さん世代にとっての「青春の一本」みたいな作品で、ここにいるお嬢さんたち(©みの)は久しぶりにその感動を味わいに来たのだなあとオレがひとり感慨にふけっていると、終了後、別のお嬢さん(同上)が通路を歩きながら「わたし初めて観たけどあんまり面白くなかったわねー。ギャハハ」だと…。クッ、オレの感慨を返せ。
みんなツラいのよネー [映画やドラマ (アメリカ以外のやつ)]
しがない中年男(板尾創路)が性欲処理のために買ったダッチワイフの「のぞみ(ペ・ドゥナ)」。ゴム人形であるはずの彼女はいつしか心をもち、こっそりと街へ出る。すると、そこでは誰もが虚無感を抱えながら生きていた。のぞみはレンタルビデオ店で働く青年(ARATA)に恋をするが…というお話。
同じ是枝監督の『歩いても歩いても』が素晴らしかった(過去ログ宣伝厨)のと、DVDジャケットの女の子(=主役のペ・ドゥナ)が可愛かったのとで、そこそこ期待して借りてみた。ら、なかなかに退屈な映画だった。開始30分後ぐらいから「もしやこれは…」という予感が芽生えて、1時間過ぎるあたりでリモコンの停止ボタンと早送りボタンの間で、オレの親指がそわそわし始める。結局ぜんぶ観たけれど、やっぱり途中で止めても良かったなという感想。
なんかね、「この世知辛い都会で、みんな痛みを抱えて生きているの…」みたいな感傷的な雰囲気が充満し過ぎてて、それがどうにも気持ち悪かった。『歩いても~』だってじゅうぶん感傷的だったじゃんかよてめえと言われれば確かにそうなんだけど、あれとはなんか違ったんよね。
ファンタジーっぽさというか、非現実的な描写がちょいちょい挟まれるのは気にならなかった。そもそもダッチワイフ(っていま言わないんだっけ?)が動き出すっていう話だし。あと、ビデオ屋で寺島進が「刑事の汚職もので面白いのない?」って尋ねて、店長役の岩松了があれこれオススメするとこが面白かったかも。