マーサの成功ルール

  • 作者: マーサ スチュワート
  • 出版社/メーカー: トランスワールドジャパン
  • 発売日: 2006/08
  • メディア: 単行本
まるでネトウヨのごとき右っぷりな論調がいちいちウザい『サンケイ・エクスプレス』という安い日刊紙を前から購読していて、そこに週1で連載されているマーサ・スチュワートの「good things マーサの超おすすめ」という読み物が紙面いちばんの楽しみである、ということを以前書いた(過去ログ宣伝厨)のですけど、実は2009年の10月で連載終了となっていました。それ以来、マーサの素敵な文章(正確に言うと直訳文体)が読めず、なかば禁断症状に…。ソコデ、オレ、オモイツイタ。そうだ、マーサの本を読めばいいじゃん。

この本は、マーサがインサイダー取引の罪でムショ暮らしをしているときに書こうと思ったものなんだって。内容的には、これから起業を考えている人への自己の経験をもとにしたアドバイス的なものがメインで、それに自叙伝が少々。でも、そんなことはどうだって良くて、オレは直訳風に翻訳されたやや固めのマーサの文章が読めれば大満足。そして、実際じゅうぶんにそれを満喫しました。

あのときの父の言葉は、いまでも私の胸の中に残っています。全力で取り組めば、きっと何百万人もの人が求める「すばらしいアイデア」が見つかる。自力で億万長者にだってなれる。どんな圧力も、誹謗中傷も、悪質な妨害もはねのけられる。収監されても仲間と友情を育むことができるし、同じ配給食を食べながら友人の人生を知ることもできる。どんなにつらいことがあっても復活できる。何だってできるのです! (本書211ページより)
くはー、たまんねえ。最後の「何だってできるのです!」のとこがさ、もし仮に「ですます」じゃなくて「である」文体だとしたら、もうダメなわけよ。なんか、綺麗なマーサに熱くお説教されてる感が薄れて、ただの独りよがりに聞こえてしまうハズ。やっぱ、ジンガイの自叙伝は「ですます」調に限るのです!

それとか、こんなの。各章のタイトルの一つとして…
Martha's Rule 8 パイが焦げたら切り分けて
ぐぐぐぅぅー、最高! この第8章は、もし何かビジネスで失敗したとしても、焦らず落ち着いてリカバーしましょうという内容なんですけど、それを焦げたパイに例えるなんて、いかにもマーサ! ザ・マーサ! ザマーサ!? それにさ、「パイが焦げたら/切り分けて」っていう七五調もたまんなくね? これはもちろん訳者の槇原凛さんの功績。グッジョブ。

むろん、上述の変態っぽい欲求以外にも、ちゃんと一冊の本として楽しめました。とにかく感銘を受けるのはマーサのバイタリティーやタフネスっぷりかな。彼女は、【モデル→株の仲買人→小さなケータリング事業→手広くいろんな事業・テレビ出演など→ムショでオツトメ→復活(したんだよね!?)】という経歴を持っていて、この本にはその各時期の話が載ってました。そのいずれにおいても、マーサは自分でしっかりと目標を打ち立てて、それをコツコツとこなしていく。爪の垢でも煎じて飲ませたいです、オレに。これを読めばあなたも私も起業が大成功! なわけ絶対ないんですけど、とりあえず起業とか関係なく、その前向きな姿勢が参考になるとオモタ。

そういえば、「さいきん、マーサ・スチュワートの本を読んでるんだ」って人に話したら、「それ、アメリカ版のカツマじゃない!? ギャハー」と言われました。いや、断じて違う。だってさ、職業がバラバラってこともそうだけど、マーサは元モデルだけあって容姿がすっごく綺麗。でも、カズ…コンコン、あ、誰か外に来たようです。