ユタ州の大自然の中、いつもの週末と同じようにたった一人でロッククライミングに出かけた青年(ジェームズ・フランコ)だったが、誤って大地の割れ目に転落し、大きな岩に右手を挟まれたまま身動きがとれなくなってしまう。行き先を誰にも告げず、通信手段も持たぬ彼は、死が迫り来る絶望的な状況の中で懸命にもがくが…というお話。
ダニー・ボイル監督の前作『スラムドッグ・ミリオネア』は、まあまあ面白いとは思うものの、あそこまで絶賛される理由はよく分からなかった。じゃあなんでこれ観たのっていうと、あんまり監督が誰とか関係なくて(え? じゃあ上の文章いらねえし!)、大自然でのサバイバルものというストーリーに惹かれたのかも。ちょっと『イントゥ・ザ・ワイルド』っぽいしね。
これ、実話ベースっていうのがすごい。自分だったら「12.7時間」で諦めるわ。その絶望的な127時間、もちろん困難の連続なのだけど、そうした過酷な状況で主人公が思い出すのはやっぱり家族や自分と深い関わりのあった人たちのことなのね。そうして、いきおい内省的になって、いままでの生き方をも見つめ直す。相当に脚色は入っているだろうけれども、見応えはありました。少なくとも『スラムドッグ~』よりは好き。あと、やっぱジェームズ・フランコが良いね。上手いと思った。