前回、CARDO社の「スカラライダーQ2」っていうバイク用の無線通信キット(インカム)を買ったっていう話をしたんですけど、今回はもうちょっと詳しいインプレです。なんとなくQ&A形式にしてみました。Aはもちろんのこと、Qも自分で考えてます。泣ける。
Q. そもそもなんで「スカラライダー」にしたの? 国産で良さそうなの出てるじゃんずばり価格。つまり、アメリカからの送料込みで3万円以下と、他のやつに比べるとたいへん安かったからです。これ系の中では(たぶん)一番人気なのであろう「B+COM」とか「インターフォン」の2台セットが2万円台で買えるなら、そっちももちろん検討したことでありましょう。
あと、バイク雑誌でこういったインカムを比較した特集を読んで、「スカラライダーっていうのは、最強とはいかないまでも基本性能はちゃんとしてるっぽいし、なかなか高性能ではなかろうか」と思ったから。
Q. 使い方をざっくり教えろ
そして、本体にはでかいボタンが2つ(「CTRLボタン」と「MCボタン」)、側面にボリューム用の2つ(「up」「down」)の計4つのボタンが付いていますけど、普通に会話するぶんには、最初の電源オンのために1回押せばOKです。なんでかっていうと、ある一定音量以上の音声を拾うと、自動で通話状態が開始されるからであります。で、30秒無音状態が続くと、もとのスタンバイ状態に自動で戻る(もちろん節電のためと思われます)。
ただ、これがちょっとクセモノで、どちらかが普通にしゃべってるハズなのに、いきなり「プー」ってスタンバイに戻ってしまうことがわりと多くあります。切れる瞬間にはビープ音が聞こえるので、そのつど声を出せば復帰はするものの、いま30秒以上無音が続いてるよなーっていうときでもスタンバイに戻らないときもある。つまり、その基準がよく分からないんスよね…。これだけは、かなりイラつくときがある。
それと、ボタン操作について、もし仮にスカラライダーのセットをもう1ペア同時に使いたい場合(つまり、いまのところ3人同時通話というのはBluetoothの規格上無理らしいので、3人でトライアングルのようにして、「Aさん&Bさん」+「Aさん&Cさん」というようなペアリングをする場合)は、その通話チャンネルを切り替えるために「MCボタン」をシングルタップやらダブルタップする必要があるようです。
また、ボリューム調整については、周囲の雑音にあわせて音量を上げてくれる機能があるみたいで、(相手側のマイクがずれているなどの事情が無い限り)それほど音量調整の必要を感じません。
Q. で、実際の無線通信はどうなんだよ? ちゃんと聞こえんのかよ後ろに乗ってるタンデマーとであっても、離れて乗ってる他ライダーとでも、とてもハッキリ話せるし聞こえます。こればっかりは「実際使ってみ?」としか言いようがない。もう少しノイズが入るのかな、かすれたりするのかなと思っていたんですけど、個人的な感想ではかなりクリアな印象です。これは正直驚いたでやんす。
こういった機器を使う上で、というかバイカーならみんな分かってる風切り音については、雑誌なんかでは「スカラライダーだと80km/h以上は厳しい」と読みましたけど、これも主観的には大丈夫でした。もちろん80km/hより遅い速度帯に比べれば聞き取りづらくなることは確かだし、こちらも大声上げる感じにはなりますけど、たぶん100km/hまではいけるんじゃないかなーというのがオレの適当な予想です。
ただ、これはめいめいのヘルメット形状や乗ってるバイク、その場所の地理的要素に多分に左右されるのだろうから、なんとも断定的なことは言えませんやね。ちなみにオレの場合、ヘルメットは安物のジェット型、バイクはビッグスクーター(サイレンサーは純正なのでかなり静か)です。
そうそう、通信距離に関して。このスカラライダーはカタログによれば「Biker-to-Biker Full Duplex Intercom Communication up to 500m (typical effective range - approx.250m)」、すなわち「ライダー間の通話は500mまでいけるゼ!(でも正直言うと250mぐらいだけどネ。テヘッ)」とありました。いやいや、250mでも嘘くさいよ。無理でしょーと、友だちと2台のバイクで深夜に試しました。そしたらいけるし。お互いの姿が見えなくなっても通話できるし。これもびびった。家に帰ってきて、地図上で確かめると、300m離れても大丈夫という結論に至りました。ただ、これも遮蔽物がほとんど無い状態で、しかもそれほどスピードを出さずに試したときのことです。このことは心に留め置いといてくんさい。あと、この通信距離はあくまでスカラライダー「Q2」同士の話であって、古いバージョンのスカラライダーだと、もっとずーっと短くなってしまうようです。
Q. Bluetoothによる、他の機器との連携は? ケータイとかさなんと、まだ試したことがございません! 今使ってるケータイにはBluetoothがいちおう付いてるんですけど、そもそもほとんど電話がかかってくることが無いので(な、泣いてねえよ!)、わざわざケータイとスカラライダーを連携させる必要性を感じないというか…。役に立たない糞レビューで、まじすいません。
Q. ラジオが付いてるらしいけど、どうなの? ぼくらの大好きなiPodは聴けるの?実は、FMラジオのチューナーが付いてるっていうのはこっそり楽しみにしていたポイントでした。正直なところ、長い時間運転してるとちょっとぼんやりしてしまうことがあって、そんなときラジオでも聴ければ気分転換にもなりそうだと思って。
が!! ここに、海外直輸入品の落とし穴があったのです。国内仕様のスカラライダーはたぶんちゃんとしてるんでしょうけど、オレが買った海外仕様は、FMラジオの受信周波数帯が「87.5MHz~108MHz」とのこと…。日本でそんな周波数のFMラジオ局は、ほとんど無えよ! というわけで、ラジオは諦めました。他社のBluetoothキットにはラジオチューナーが付いていないと思うんで、「スカラライダーならラジオが聴ける!」と楽しみにしてる人は間違っても海外仕様を買ってはなりません。おじさんからの真摯(しんし)な忠告です。
ところで、オレはかつて、イヤフォン付けながら乗ってるライダーを見ては「音楽聴きながらバイクに乗るなんてけしからん! 周囲の音が聞こえなくなって危ないじゃないかキミィ!」と、一人プリプリ怒ってるタイプでした。それがどうでしょうこの有様は。人間、現金なもんです。いちおう言い訳させてもらうと、スカラライダーのスピーカーは薄い平型のやつで、ヘルメット内部に貼り付けるタイプです。だから、耳を完全にふさぐわけではなく、実際音楽を聴いていてもそれが適切な音量であれば、周りの音(もちろん緊急車両のサイレンなんかも含めて)は聞こえます。スピードを70km/h、80km/h出しても音楽が聴こえるようにするには音量を相当上げないとダメですけど、さすがにそれは危ないんでやってません。スピード落としたときとか信号待ちの時に音楽が流れてくればいいかなぐらいで抑えております。以上、安全に関する怖い人への予防線敷設終わり。
あ、もしかしたら購入前のオレのように、「片方のスカラライダーで音楽聴いてたら、ペアリングしてるもう片方のスカラライダーからも音楽が聴こえちゃうのかしら!?それって楽しそう!」とか淡い期待してる人へ。それは無理でした。それどころか、会話をしてると音楽などジャック経由のソースは自動でシャットダウンされ、会話を終えると復帰するという仕組み。ご愁傷様です。
Q. バッテリーの持ちは?カタログには「最大通話8時間、待機状態で1週間もちます」と書いてあります。まず、一日単位で言えば、不便を感じたことはないです。ただ、これはロングツーリングとかで使ったわけではなく、タンデムとかでちょこちょこ走ったときの話なので、通話時間は都合2~3時間程度。だからさー、おまえさー、レビューみたいなの書くんだったらもうちょっと長い距離を走ってからさー…。ごめんなさい。ただ、充電せず2週間ぐらい放っておいたときでも、電源が入るのはちょっと驚きました。でも、これは買ったばかりで電池が元気良いからかも。
そして、内蔵のリチウム電池の「寿命」的なことに関しては、さすがに分からないです。これも同じく買ったばかりなので。たぶん交換するのは無理だろうから、電池の劣化はあるだろうけど2~3年もってくれればいいかなあと、ある種の諦めとともに買いました。そのころにはもっと良いヤツも出てるかもしれないし、とりあえずインカムっちゅうものを使ってみたいという気持ちのほうが強くて。そういえば、国産の他のインカムでは、内蔵電池の交換に応じてくれるところもあるらしいスね。正確なところは知らないけれど。はい出たー、無責任ー。
Q. ヘルメットへの取り付けは? 耳痛くなったりしない?付属の取り付けキットを使って、あっさりと装着できました。取り付け/取り外しには六角レンチが必要で、それがほんの少し煩わしいかもしれないけど、逆に言うとしっかり取り付けられます。ただ、タンデマー用の小さめジェットヘルメットには通常の取り付け法(ヘルメット側面を挟み込む感じ)が上手くいかず、オマケ(?)として付いていたプレートを使っての装着法になりました。強力両面テープで台座をメットに貼り付けてしまって、そこに本体をレンチで取り付けるという。
内側に取り付けたスピーカーについては、自分のヘルメットは内側がわりと緩めなせいか、スピーカーが耳に当たることはなくて、痛くもならないです。ただ、もうちょっとタイトなヘルメットだと…どうかなあ。うーん、ヘルメットの形状からして千差万別ゆえ、ちょっとこれもハッキリしたことは言えません。申し訳ないです。
Q. 防水だって聞いたけどホントかよ?取り扱い説明書の最初のほうに、
「IMPORTANT: Your headsets are water-resistant, designed for use under moderate rain or snow conditions. However, the headsets are not waterproof and should not be used under severe weather conditions.」(太字は原文ママ)、
すなわち
「重要: おまえのヘッドセットはあくまで防滴であるからして、耐水じゃないからな。ドシャ降りのときには使うなよ。いいか、絶対に使うなよ! これは前フリじゃないからな!」みたいなことが書いてあります。
これも実際に試したことが無いんですけど、そもそも雨降りのときには無理してバイク乗らないだろうし、もし仮に乗るとしてもドシャ降りになったら大事をとってインカムは外すと思う。
Q. 他の細かいことをまとめとけや。もういい加減読むの疲れた1) 充電器の電圧について
2台セットのスカラライダーを買うとちゃんと充電器が2個入っていて、それは親切だなと思うものの、アメリカ仕様なので電圧が110Vです。日本は100Vなので大丈夫なのかなと心配になるけど、どうやら電圧が低い分には問題ないみたい。実際、ちゃんと充電できます。
2) 他メーカーのBluetoothインカムと一緒に使えるのか
Bluetoothの中でもいろいろと規格〈プロファイル〉があるらしく、そのプロファイルが一致すれば理論上は通話が可能らしいんですけど、実際試したことはないです。というわけで、他メーカーのインカムをお使いのそこの貴方/貴女。スカラライダー付けてグランドマジェスティに乗ったチンカス、すなわちオレを街で見かけたら、ぜひペアリングを試させてください。
3) インカム付けてて恥ずかしくないのか
他のライダーやドライバーが薄ら笑いでこちらを見て「わー、あの人変なマイク付けてるよー。しかもなんかピコピコ青く光ってるしプププ」と指さしてるような気がしても、それらはすべて気のせいです。修練が足りないのです。
4) 参考になるサイト
この糞レビューの100倍役に立ちそうなのがこちら↓
□「キタ印工房」
http://www.kitajirushi.jp/archives/cat15/scala_rider_q2/index.php
ライター兼イラストレーターとのことで、さすがに分かりやすいし文章も読み易いです。しかもこっちは国内仕様のスカラライダーを試した様子。最初からこっちを読んだほうが良いと思う。えー!?最後にそれー!?