グダグダ、でも、なかなか [読んだ本 / 好きな文章]
「"わからない"ことがなにかあったなら、それを"わからない"ものとして真正面からとらえて、ひたすら"わかる"まで体当たりする」みたいなことを、筆者の今までの経験を通じて、ものすごくグダグダな感じで述べた本。ただ、グダグダと言ってもそれほど読みにくいわけでもないし、それなりに面白かったです。人に勧めるほどではないけれども。
この本の中に、オレが長いあいだボンヤリと思っていたのにハッキリと言葉に出来なかったことがばっちり書いてあった。ので、引用させてもらいます。
昔見て感動したものは、人の記憶の中に「感動」としてしか残らない。その映画全体がたいしたものでなくても、ある部分に、その当時の自分の求めるものが強く存在していれば、そこでだけ感動して、「自分の心の名作」にしてしまう。自分の中でだけ「心の名作」になっていて、必要とあれば、その「感動の記憶」だけを取り出して、何度も反芻(はんすう)する──人に「いいから見ろ」とすすめたりもする。すすめられた人間は、すすめた人間とはまた別種の人間なのだから、言われた通りに感動するとは限らない。年の離れた人間に「青春時代の話」を聞かされて、それがただ「ふーん……」という無感動にしかつながらないのは、背景となる時代が違っているからだが、「名作」というものだって同じである。(本書231ページより)
うわー。今まで色んな人に「『トゥルー・ロマンス』だけは死ぬまでに絶対観ろ!」とか、自分のお気に入りを強制するようなことを100ぺんは言ってきた気がする。でもしょうがないよね。『トゥルー・ロマンス』だけは名作だもの。あ、あと『イントゥ・ザ・ワイルド』も。これからもじゃんじゃん押しつけてくよ!
タグ:「わからない」という方法 橋本 治
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