いかにもミニシアター系 [映画やドラマ (アメリカ以外のやつ)]
2003年フランス／監督：フランソワ・デュペイロン
- 出版社/メーカー: ハピネット
- メディア: DVD
60年代のパリ。裏通りのユダヤ人街で暮らす少年モモ（ピエール・ブーランジェ）は父親（ジルベール・メルキ）と二人で生活していた。母親と兄はモモが幼いときに出て行ったという。厳格な父との寂しい暮らしに彼はふさぎがちだったが、街の娼婦たち、それに雑貨屋を営む老人イブラヒム（オマー・シャリフ）はモモを温かく見守っていた。「笑い方を覚えなさい。そうすれば幸せになれるから」と、いつも優しいイブラヒムおじさんを慕うようになるモモだったが、運命は次第に過酷なものに…というお話。
ツタヤの「ミニシアター系ロングセラー」みたいな棚に、「日本中が号泣」というポップとともに置いてあった作品。全然知らなかった映画だけど、疑似親子ものにめっぽう弱い僕としては思わず借りてしまいました。
非ハリウッドだからどうせ淡々としてて眠くなってしまうんじゃないかしらという予想とは違って、とてもテンポ良く、さくさく観られました。特に、前半の場面展開は主人公のアパート、その前の通り、雑貨店ぐらいしかないのに、ユダヤ人街の活気や息づかいみたいなものが生き生きと伝わってきて良かったです。ノリのいい音楽の力が大きかったかもね。
お話のメインとなる、モモとイブラヒムおじいちゃんとの交流もじんわり温かくって素敵です。二人の役者の演技には確かなものがある（上から目線）し、モモの境遇は辛いはずなのにあんまり重くしすぎず、クスッと笑えるシーンがところどころに入ってるのも良かった。
ただ、この話のベースには、宗教的な相違をどう乗り越えるか的な視点がどっしり根付いていて、単なる人情物だと思ってた自分にはちょっと違和感がありました。つまり、主人公モモはユダヤ教徒、一方のイブラヒムおじさんはイスラム教徒で、おじさんはことあるごとに「コーランでは…」と講釈を挟んでくるわけですよ。ほんでモモも徐々に感化されていくんですが、僕はそういったテーマをちいとも予想しておらず、かつそれらの宗教について知識がとんとございませんものですから、「なんか向こうの人たちは宗教で大変なんだなぁ」という激低レベルな感想しかもてなかった。おそらく監督は、二人の触れ合いそのものではなく、宗教的な事柄を今作のメインテーマとしているのかもしれない。違うかも。
それと、話がパリから別の場所へ移って以降がちょっとドタバタし過ぎててついていけなかった。それまでのじんわりトーンから急にスピーディーな感じになって、決してそういう破調的なのがダメってわけじゃないけど、なんだか突然過ぎて説得力を欠くなあと思った。結局、「日本中が号泣」したのにオレは泣かず。
でもね、全編通じて丁寧に撮られてると思うんで決して悪くない出来です。観て損はしないはず。
ついでだから、オススメの疑似親子ものを思いつくままテケトーにあげておきます。ザ・余計なお世話。
まずは『ペーパー・ムーン』。これは定番スよね。もし未見なら是非とも推したい一本です。ちょい昔の作品で、なおかつ白黒なもんだから借りるときは抵抗があるかもしれませんが、ニセ親子が子どもをダシにして聖書を売り歩く、笑いあり涙ありの珍道中で、これはまじ傑作。小生意気で憎たらしい女の子と、いい加減な詐欺師の男。いつしか本物の親子のように…って、また観たくなってきた！
そういえば、この映画で天才子役とうたわれたテイタム・オニールという女優さんが麻薬所持だか何だかの罪状で逮捕されたというニュースをこないだ読みました。切ねぇなあ…。あと、高円寺にこの映画と同じ名前の古着屋さんをこないだ見つけた。実はテイタム・オニールが副業として経営している、わけはない。
ブラジル映画の『セントラル・ステーション』もヤバいです。ふてぶてしいおばちゃんとみなしごがその子のお父さんを探しに行くっていうロードムービーで、冷血鬼の自分でもあのラストには映画館で号泣してしまった。ホームレスが赤ん坊を拾う『東京ゴッドファーザーズ』っていう日本のアニメもすごく良いです。
以上、ダラダラ書いてきたけど、やっぱりいつも通り中身がない…。こんなのを普段読んでくださってる方がもしいるのならば、本当にありがとうございます。いいえ、どういたしまして。
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