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長年の謎が少しだけ分かった [読んだ本 / 好きな文章]


ワスプ(WASP)―アメリカン・エリートはどうつくられるか (中公新書)

ワスプ(WASP)―アメリカン・エリートはどうつくられるか (中公新書)

  • 作者: 越智 道雄
  • 出版社/メーカー: 中央公論社
  • 発売日: 1998/09
  • メディア: 新書


「ジョージ・ブッシュ」のアタマの中身―アメリカ「超保守派」の世界観 (講談社文庫)

「ジョージ・ブッシュ」のアタマの中身―アメリカ「超保守派」の世界観 (講談社文庫)

  • 作者: 森 孝一
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2003/03
  • メディア: 文庫

「州にもよるが、アメリカの高校では、進化論を教える教師は地域社会の圧力を受けて、最悪の場合は辞職にまで追い込まれる可能性がある」という話を、むかし何かで読みました。つまり、人間は神様がお創りになったものであり、猿から進化したなんてとんでもない!そんな馬鹿げたことを教える教師なんてクビざます!っていう。
そのとき、アメリカ社会ってすごく合理的な考え方をするものだと思っていたけど、もしかしてちょっと違うのかしらという疑問の芽が自分の中でわいたのです。また、映画なんかで「あいつはユダヤだからな。ゲッヘッヘ」と白人同士で差別してるシーンをたびたび観てきました。あれぇ、同じ白人なのに何か違いがあるのかなぁという疑問もまたその時生まれたのです。そういう、アメリカの白人についてよく分からないモヤモヤを解消すべく、このファッキン・ジャップが重い腰をあげて読んでみた2冊です。

まず、越智道雄先生の『ワスプ』。
WASPとは、「White Anglo-Saxon Protestant(白人でアングロサクソンのプロテスタント信者)」の頭文字を取った言葉で、もともとはアメリカの伝統的な支配層に対する被支配層からの呼称だったそうです(「白人」と「アングロサクソン」というのはほとんど同じことなんじゃねぇの、っていうのはあんまり気にしなくていいみたい)。つまり、「われらこそアメリカに移り住んだ最古のアメリカ人であって、他のアイルランド系移民や、イタリアその他のヨーロッパ系移民どもは来るのが遅かったんだから遠慮せいや!」という考えが根っこにある人たちがワスプということらしい。本当はネイティヴ・アメリカンが最初なのに…。

で、この本はそういったエリート層の考え方、彼らのさまざまな行動の規範となる価値観、夫婦・家族間の関係性などをかなり詳細に追っていきます。また、日本人には馴染みのないプロテスタント内の宗派も詳しく書かれているし、現代のアメリカ社会では衰退しつつあるワスプの未来についても言及があります。
ただ、ちょっとダラダラ遠まわしに書かれている印象があったかな。分かりやすくしようと具体例をたくさん入れてくれるのはありがたいんですけど、そのせいで結局何が言いたいのか回りくどい感じがしたし、各項目が均等に細かいせいで、力点は何なのかというメリハリに欠けてたから読むのが疲れた。同じことを伝えるのなら、この半分か2/3ぐらいの分量でお願いしたかったです。

次は森孝一先生の『「ジョージ・ブッシュ」のアタマの中身』。
もう来年で辞めちゃうけど、ブッシュ大統領の主に外交面での基本姿勢を、宗教という観点から読み解いている本です。著者の森先生は神学博士とのこと。ふざけた表紙とはウラハラに中身はいたって真面目で、とても分かり易かった。「テロを支援していると疑わしい国家は、先制攻撃の対象となり得る」っていう例のちょっと無茶な考え方も、この本によればなぜ彼らがそんな発想をするかは納得。それが正しいかはまた別として。あと、この本の巻末211ページから載っている山内進先生の解説がすごく平明でよく分かるから、もしこの本に興味があったら、ここから読むと良いかも。あるいは、てっとり早く「アメリカと宗教」の超おおざっぱなアウトラインを掴むためにも役立ちそう。

結局のところ、僕ら一般的な日本人が思う以上にアメリカ人という人たちは宗教の影響下にあるのだなぁと思いました。なんかすげえ適当なまとめですいません。
それと、『ワスプ』の越智道雄さんの名前は下から読んでも「おちみちお」さんです。
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