ドキュメンタリー版のほうが好みでした

『ミルク』
2008年アメリカ／監督：ガス・ヴァン・サント
http://milk-movie.jp/enter.html

1970年代のアメリカ・サンフランシスコ。恋人のスコット(ジェームズ・フランコ)とともにカメラ店を営んでいたハーヴィー・ミルク(ショーン・ペン)は、街で公権力から抑圧されていたマイノリティの権利を守ろうと市の執行委員に立候補する。ゲイであることを公表した上での選挙は厳しいものだったが、３度目の挑戦で晴れて彼は当選を果たす。しかし、恋人スコットは選挙活動中にミルクのもとを去り、同じ執行委員のホワイト(ジョシュ・ブローリン)との確執は悲劇を呼び起こすことに…というお話(あんまり上手くないまとめ)。

こないだ、公開２日目ぐらいに観てきました。この予習として80年代に作られたドキュメンタリーを観ておいたわけですけど、実際のところ、この映画を観るにあたってその必要はなくて、誰でも分かるように丁寧に撮られてました。

監督のガス・ヴァン・サント自身もゲイなんだってね。これを観るまで知らんかった。そのせいかどうかは分からないけれど、本作ではミルク氏の政治活動とともに彼の私生活、簡単に言うと恋人とのすったもんだをかなりクローズアップしてました。で、予習として観たドキュメンタリー映画のほうではそういう部分はほとんど触れられていなかったから、自分としてはちょっと面食らっちゃって、どことなく違和感を覚えてしまった。もしかしたら、実在したミルク氏について何の知識もなしでニュートラルな状態で観たほうが、この映画を楽しめたのかもね…。

映画の最後に流れるエンドロールの中に「この作品はだいたい事実に基づいてるんスけど、物語を盛り上げるためにちょびっとフィクションも入れちゃいました」みたいな表記も英語で出た(ような気がする)んですが、それにもオレはちょっと引っかかってしまった。特に私生活の描写で、いったいどこらへんまでが事実だったんだろうって。総じて、作品としては平均点以上だと思う(ちょう偉そう!)ものの、期待し過ぎるといまいち…というのが率直な感想です。

ところで、この作品で我らが(?)ショーン・ペン先生は２度目のアカデミー主演男優賞をとりました。おめでとう。ありがとう。ただ、ペン同盟(会員２名)の幼なじみ・ヤマとは「ケッ。何をいまさらよぅ」という意見で一致してるんですけど、それでもさすがにこの映画でもショーンの演技バカっぷりが炸裂していて、やっぱりそこは見応えがあって大満足。それなのに、公開２日目の劇場はかなり小さめのスクリーン、なおかつ1/3程度の客の入り…。ちくしょうめ。おまえらときたら、まだ分かっていないと見える。こうなったら、「初心者のためのペン・ガイド」の始まり始まり～だ! 覚悟せよ!

第３位　『カジュアリティーズ』 マイケル・Ｊ・フォックス主演のベトナム戦争もの。ペンは憎ったらしい軍曹を演じてます。たしかオレはこの映画を観て初めてペン先生のことを意識したはずで、「なんだこの異常にふてぶてしい奴は!」って記憶された、とイイマス。

第２位　『デッドマン・ウォーキング』 ある事件で殺されたショーン・ペン演じる主人公(通称デッドマン)が生前の怨みをはらさんがため墓の下からゾンビとなってよみがえりウロウロ歩き回いて…という映画ではなく、凶悪な殺人を犯した死刑囚が処刑されるまでの心の有り様を、スーザン・サランドン演じる修道女との対話を通じて描き出していく大変シリアスな作品。演技というレベルを超えた何かを感じさせるぜよ。ちなみに監督はティム・ロビンス。のっぽ。

第１位　『ステート・オブ・グレース』 エド・ハリスとゲイリー・オールドマンの兄弟(え!?)が牛耳る犯罪組織を壊滅させるため、ペン先生演じる警察官が組織に潜入捜査をするも…というお話。ひょっとしたら置いてないビデオ屋のほうが多いんじゃねえかっつうぐらいのマイナー作品ですけど、ペン同盟(会員２名)の中では世紀の傑作扱いです。使えない部下どもを叱り付けるときにエド・ハリスが叫ぶ「ゲラーレヘー!! (Get out of here!!)」は、僕らのいつもの合言葉。みなさんもどうぞ。

ほんとは俳優としてのペン作品でもっともっと紹介したいやつはあるんですけど、今日はこのへんで勘弁してやります。そういえば、この順位はなんなんスか？
はぁー、またいつもみたいに、しっちゃかめっちゃかな感想文になっちゃった…。

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