久しぶりにあの話 [読んだ本 / 好きな文章]
世紀の大傑作映画『イントゥ・ザ・ワイルド』の原作である、ジョン・クラカワー著『荒野へ』をようやっと読み終わりました。
映画と原作の差異、つまり、映画の中のどこらへんが(監督ショーン・ペン先生による)創作、オリジナルの部分で、どこらへんが事実あるいは原作通りなのかが分かっただけでも収穫だったんですけど、さらに、ウェイン(サウスダコタの農場主:映画ではヴィンス・ボーン)やフランツ老人(一人暮らしの革職人:映画ではハル・ホルブルック(名演でした!))らが語る本当のクリス・マッカンドレスを知ることができて興味深い。
ウェインいわく、
「本をたくさん読んでいたし、難しいことをしゃべっていたな。たぶん、トラブルに巻き込まれたのも、物事をつきつめて考えすぎたのが原因のひとつだろうと思う。…(中略)…ぜったいに正しい答えが得られなければ、どうしても気がすまなくて、それが得られてからでないと、つぎのことには進めなかった」(本書38ページより)
フランツいわく、
「あわただしい旅だったが、楽しかった。ときには、一言もしゃべらないで、何時間も車を走らせたこともあったがね。眠っているときでも、彼がいっしょだから、幸せだったよ」(同94ページより)
クリスと付き合いのあった他の人たちからの話も合わせて考えると、(映画の中と違って)本当の彼は、ひどく接しにくい面や子どもじみた要素を抱えていたみたいだ。映画では屈託なく笑う好青年として描かれているし、確かにそういう一面も大いにあったようだけど、根本的な部分は…どうだったんだろう。
でも、だから「本当のクリス・マッカンドレス像にガッカリした!」なんてことはもちろん無くて、むしろそんな性格であったからこそあのようなことになったんだと、部分的ではあるけれども納得できたし、映画を観たときに感じた共感の度合いはより深まりました。クリスの根っこの部分に潜む、グジグジしてて暗いもの。他人への嫌な優越感や劣等感、孤独や挫折。その後、もしクリスが年をとることがあったなら、葛藤の末にそういったやっかいなものたちと折り合いをつけることができたのかな。
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どうでもいい瑣末ちっくな話いきまーす。 まだこの本を買ってないころの話ですけど、ディー・ヴィー・ディーで『イントゥ・ザ・ワイルド』を何回目かに観てるとき、エンドロール中に 「Jim Gallien役 … JIM GALLIEN」 という表記を発見しました。つまり本人が出てるってことみたい。 でも、そもそもJim Gallienってどんな役だっけ? そんな人出てきたっけ? 発音はガリエン? ギャリエン? ガーリエン? そんなもんで、グーグル先生にさっそくお尋ねしてみると、英語のサイトに「アラスカでクリスを拾ってあげた人よ」みたいな説明が出てきました。 参考:http://www.enotes.com/into-wild/q-and-a/how-did-jim-gallien-meet-mccandless-55431 |
すなわちこの人。映画冒頭で、クリスをピックアップトラックでアラスカの雪原まで送っていき、これ持ってけやとブーツまでくれたおじさんでした。すごく渋くてカッコいいから、まさか素人さんだとは思わなかったよ。 ジョン・クラカワーの原作では、このジム・ガーリエン(という発音らしい)氏についても取材していて、クリスの印象を聞いています。つうか、よく考えたら原作で取材してるからこそ映画でキャスティングできたんだよね…。 彼はクリスのことを本当に心配して、何度も引き止めたらしい。 |
* * * * * * * * * * * * 某日、ツタヤにて。 「まだまだ話題作」なんてもんじゃねえよ、「永遠の話題作」だ!! 借りろー借りろー。みんな借りろー。 うーん、相変わらず『イントゥ・ザ・ワイルド』のことになると、いつにもましてシッチャカメッチャカな書き方になってしまう…。 |
2009-10-15 06:00
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