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最後のやつが特に好きだナ [読んだ本 / 好きな文章]


猟銃・闘牛 (新潮文庫)

猟銃・闘牛 (新潮文庫)

  • 作者: 井上 靖
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1950/11
  • メディア: 文庫

『しろばんば』を読んで、感動のあまりオレが圧倒的に打ちのめされた井上靖先生。その初期作品を3つ収めた文庫本でごわす。

社会的にある程度の成功をおさめた男性が不倫をして、相手の女性・その娘・自分の妻から受け取った計3通の手紙で真相を明らかにする「猟銃」。新聞社の社員が、戦後まもなくの混乱期に社運をかけて闘牛大会を成功させようと四苦八苦する「闘牛」。家族から頑固じじい扱いされてカチンときた老学者が発作的に家を飛び出し、因縁のある湖畔の旅館で家族の思い出を回想する「比良のシャクナゲ」。

どう考えても、30代以降の脂ギッシュな、あるいはその脂さえ渇れてしまった年代の男性をターゲットにしていそうな話ばっかりだったけど、いつも顔面テカテカさせてるオレにとっては、やっぱり面白かったです。もちろん主題が主題だけに、『しろばんば』でいちばん印象的だったみずみずしさとか爽やかさはほとんど感じなかったものの、そこはヤスシ、読ませます。ほの暗い心の襞(ひだ)みたいなのを書かせたら、やっぱうめーなー。
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