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秋がちかいね [読んだ本 / 好きな文章]


インパラの朝 ユーラシア・アフリカ大陸684日

インパラの朝 ユーラシア・アフリカ大陸684日

  • 作者: 中村 安希
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2009/11/13
  • メディア: 単行本

暇があれば自室に引きこもり、変な家具作りのために木材をシコシコ削っているか、エロビデオを見ながら別のところをシコシコこすっているか。その残念な2択しか持ち合わせていない自分にとって、この本は対極的な内容ッス。すなわち、20代の女性がザックひとつでユーラシア大陸からアフリカ大陸までを2年ちかくかけて横断するっていう無茶な旅行記。何年か前に新聞の書評欄で気になっていた(おまえいっつもそれだな!)から読んでみた。

なんたって、そのバイタリティ、ハングリーさに驚いた。話だけ聞くとまるで絵に描いたような貧乏バックパッカーかと思うでしょうけど、まさしくその通り。北川景子のCMみたいに、うら若き女性がするような(?)スマートでオシャレな旅とは100kmほどかけ離れていて、汗まみれの泥まみれ。肉体的・金銭的に危ないシーンもいくつか。そういった旅の道程で、筆者の中村さんが何を思い感じたのかがわりかし、いや相当に内省的な雰囲気で書かれています。総じて、けっこう面白かった。

これは読み始めてすぐに感じたことで、この人すごく頭でっかちなんだなあと強く思う。つまり、旅の概要だけから考えるとえらく無鉄砲な性格なのかしらと思うけど、むしろその逆で、なんでも自分で見て自分で考えて納得しないと先に進めないタイプなのかなと。そしてそれは若者特有の青臭さと言えなくもないけど、それを隠さず、変にカッコつけようとせず、考えたままを書こうとする姿勢に好感をもったよ。

確かに文章はぎこちないとこがある(とか言えた義理じゃないけど)。ちょっと回りくどいなという部分もいくつかあった。アマゾンのレビューにあるような「自意識過剰」という印象もすこし受けました。あと、なんでアジア・アフリカなのっていう。最初から"途上国で貧しくともけなげに生きる子供たちの真っ直ぐな眼差しがどうのこうの"みたいなの書きたかったんちゃうんっていう。

でも、読み進めるうちに、そのぎこちなさ、回りくどさこそ筆者が自分の考えたことを真摯に書こうとしている証なのかもしれないなと思って、その書き方が苦にならなくなった。スマートに書こうと思えばいくらでも書けるはずですもの。言葉にならないもどかしさみたいなものをなんとか伝えたいというもがき(?)みたいなものを感じたよ。そして、旅をする場所はやっぱりアジア・アフリカで良かったと思う。仮にその旅の目的が「自分を見つめること」だとするなら、自分が住んでるとこと同じような場所へ行くよりは、全然違う世界を見に行ったほうがいいもんね。変にかんぐってごめんなさい。だもんで、2つの大陸を股にするこの人の旅と成長を見守るような心持ちで最後まで読み終えました。市内から出ることすら億劫がっているおまえがどこから目線じゃい。
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