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無駄にだらだら長い感想文となりました [映画やドラマ (アメリカのやつ)]


ギャング・オブ・ニューヨーク

ギャング・オブ・ニューヨーク

2001年アメリカ、イギリス、ドイツ、イタリア、オランダ/監督:マーティン・スコセッシ
  • 出版社/メーカー: 松竹
  • メディア: DVD
19世紀中頃、ニューヨークでは英国系先住移民のグループ「ネイティブズ」と、他の移民グループらが激しく対立していた。ネイティブズのリーダー・ビル(ダニエル・デイ・ルイス)は、反目するアイルランド系移民のリーダーであるヴァロン(リーアム・ニーソン)を殺し、ついに街を手中に収める。それから10数年後、投獄されていた少年院から街へ戻ったヴァロンの息子・アムステルダム(レオナルド・ディカプリオ)は、目の前で殺された父の仇を討つべく、素性を隠してビルに近づくが…というお話。

大傑作『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』を観て以来、ダニエル・デイ・ルイスの演技を鑑賞する義務を個人的に負うこととなったわけですが、『マイ・レフトフット』に続いて借りてみたのがこれです。主演はレオ様だけど、多くのシーンでデイ・ルイスの演技を拝めるので目的は果たせます。

で、今回のダニエル・デイ・ルイスもやっぱりすげかった!!大満足です。
「内に狂気を秘めた男」みたいな役柄を演じさせたら、現役世代で彼に勝てる役者はいないんじゃないかしらん(下の世代ではクリスチャン・ベイルが相当キテると思っているんですが、どうでしょうか)。穏やかに会話をしながら「ワッハッハ」と大きな笑い声を立ててはいるんだけど目は絶対に笑っていなくて逆に超怖いっていう演技とか、『ゼア・ウィル~』でも見せてた狂人の優しげな一面とか、本当に怒り狂った暴力的なシーンの迫力とか、もうこの人の存在感はただごとじゃあないよ。

こんなすごい役者を今までずっと見逃していたとは、自称映画好きにも程があるってものです。次は『父の祈りを』っていうのを観てみようかな。出演作は多くないのかと思ってたら、そうでもないのね。
参考:http://cinema.intercritique.com/person.cgi?pid=448

いちおう、映画本編の感想も書いておきますね。
ディカプリオが出てくる開始20分ぐらいまでの、移民グループ(=ギャング)同士の決闘シーンは血生臭くてすごく面白いです。その後は、ダニエルおじさん早く出てこないかなと思いながらずっと観てました。168分とすさまじい長さなんだけど、不思議と飽きることはなかった。が!オススメの一本かと言われたら、答えは否です。長さ、お話のスケール感、役者・監督・セットの豪華さなどに比べたら映画自体の面白さはなぜか薄い。

まず、レオ様。これは全国のディカプリオファンの人には本当に申し訳ないこってすけど、オレは彼が本当に苦手なんだ。同じスコセッシ監督、ディカプリオ主演の『ディパーテッド』でも同じことを思ったんですが、彼が出てくるともう完全にディカプリオにしか見えない。何を演じていようがレオナルド・ディカプリオ。昔に観た『ギルバート・グレイプ』ではすごい役者だなぁと思ったし、これだけ長いことハリウッドで活躍し続けてるんだから実力は確実にあるのでしょう。これは完全に自分の偏見、好き嫌いによるものなので、もうどうしょうもない(そういえば『ディパーテッド』はひどかったなぁ。映画館であれほどずっこけたのは初めてかもしれない)。

この映画がイマイチだった2つめの理由は、歴史上の予備知識がないとちょっとついていけないところがある点。時代設定は1840~60年頃で、宮崎吐夢が、違う、ペリー提督が日本に来た頃だっていうのはかろうじて分かるんだけど、そのときのアメリカの内政なんてこのボンクラは知る由もない。黒人を差別してたり南北戦争やってたっていうのは知ってるけど、なんで小さい街の中で白人同士争っているのかねキミたちは、っていうね。

実は、この映画を観るちょっと前ぐらいから、かの国での白人内での階層差別についての本(越智道雄『ワスプ(WASP)』)をたまたま映画とは関係なくチマチマ読んでいるのですが、僕ら平均的ジャップが思う以上に、アメリカでは同じキリスト教でもカトリックかプロテスタントか(さらに細かい宗派にもこだわる)、あるいは同じ白人でも祖先がイングランド系かアイルランド系か、あるいはヨーロッパ系かということで社会内の見えざる階層というものがあるようです。ちなみに最上位階層は白人のアングロサクソン系でプロテスタント信者、すなわち WASP。そんで、その異なるルーツ、異なる宗教をもつ白人集団同士が、アメリカ建国のころよりずっと差別し差別されの勢力争いを続けてるんだとさ。へー。

そういった予備知識がないと、この映画の根幹に流れている、被差別集団たるアイリッシュ系による復讐劇というものが大して重要性をもつようには思えない。なんでそんな白人同士で血みどろの争いをしてるのかなって置いてけぼりをくったような気がするかも。

さらに、映画のペース配分が微妙な具合。具体的に言うと、前半はレオ様が組織に潜りこむとことか、街でキャメロン・ディアスとの運命の(?)出会いなんかをスケール感たっぷりに描いておるのですが、後半いきなり「あ、やべえ!全然時間足りないじゃん!」とばかりにバタバターって話が進む。観てるほうは説明不足なペースアップにあれれーってなるはずだと思った。ちょっと腰砕け。

もちろん、上の1つめと2つめのポイント、つまりレオ様が苦手っていうのとアメリカの歴史に疎いっていうのは全くオレの個人的なものなので、そうじゃないという人もきっと多いことでしょう。特に前者については。そういう人には、デイ・ルイスの狂人演技をチェックするという目的でなくても、もしかしたら楽しめるかもしれません。あ、あと、キャメロン・ディアスがきれいだったよ!
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