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みっちりと話し合おうじゃないか [読んだ本 / 好きな文章]


ローズ・マダー〈上〉 (新潮文庫)

ローズ・マダー〈上〉 (新潮文庫)

  • 作者: スティーヴン キング
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1999/05
  • メディア: 文庫

またやっちまった…。新潮文庫の黒い背表紙に釣られて、またキングの長編を読んじまった。今回読んだのは2分冊のバイオレンスもの。やたらと幻想的になる上巻の最後のほうがダルかったけど、それ以外はすごく面白かったです。以下、裏表紙より。

このままでは殺される――ある朝、シーツについた小さな血の染みをみつけて、ローズはそう口にしていた。優秀な刑事の夫ノーマンも、家ではサディストの暴君。結婚後の14年間暴行を受け続けたローズは心身ともにもう限界だった。逃げ出そう。あの人の手の届かないところへ――。だが、家出をした妻をノーマンが許すはずがない。残忍な狂気と妄執をバネに夫の執拗な追跡が始まった!

暴力あり、サスペンスあり、ロマンスあり、ファンタジーあり、ちょいエロあり。そのどれもがキング先生の通俗的なタッチでまとめられ、読ませる読ませる。ハンバーガーとポテトとフライドチキンをビールで一気に流し込んでプハーッってなる感じ。「マクロビ」とか唱えてしまうような人たちには決してオススメできないけれど、オレはこのお下品さが大好きだ。

…そう、まさにキーワードは「下品」。ストーリーの奇抜さとか人物描写の巧みさとか、そりゃもう、かのスティーヴン・キングなんだからすごいところはいっぱいあるはず。でも、それらに加えて個人的に欠かせないのがお下品な描写、低俗なセリフで、正直に告白しますならば、自分はこれを楽しみたくてキング作品を読んでいるという部分もおおいにあると思った。変態おつ。

例えばこんなとこかしら。逃げた妻の手がかりを探るべく、情報を知るチンピラを公園のベンチに座らせて、暴力夫ノーマンがチンピラのキンタマを握りつぶそうとしながら(!)脅しをかけているシーンから抜粋してみる。

「よし。さて、教えてもらいたいのはこういうことだ。どうせ、ちんけな鼻つまみ者のスペ公オカマのおまえのことだ、せいぜいやりたい盛りに母親のケツの穴にねじこんでたくらいで――ああ、マザーファッカーを絵に描いたような面がまえだからな、おまえは――女のことはからきし知らないだろうが、それでもちっとは想像力を駆使してもらいたい。うちに帰ってみると女房が――いいか、愛と貞節と、ちっくしょう、服従を誓った女がてめえのキャッシュカードをもってずらかったら、いったいどんな気分になると思う? しかも女房がそのカードをつかって、くそ休暇用の資金を引き出したうえ、カードをバス・ターミナルのごみ箱に投げ捨てていき、おまえのようなちんけで卑しいちんぽ吸い野郎に拾われたと知ったら、どんな気分になる?」
「いい気分にはなれないな」ラモーンはささやき声で答えた。(中略)
「いい気分にはなれない?」ノーマンはラモーンの顔のまん前でささやいた。その息は熱く湿っていて、酒とタバコの臭気がした。「それが、おまえの精いっぱいの答えだというのか? 救いようのない低能だな、まったく! だが……まるっきり見当はずれの答えでもないか」

うへーん、最低! でもたまらん! あと、これはやっぱり訳者の功績でもあると思うんよね。同じレベルの悪態をつくにしても、日本語であれば絶対にこうは言わないであろうという言葉遣いではあるけれども、いや、だからこそその翻訳っぽさを楽しめるというか。決して不自然な日本語ではないにもかかわらず、翻訳本でしかお目にかかれないような罵倒語を(たぶん意図的に)使って訳してくれている白石朗さん、グッジョブ。この人、よくキング作品の翻訳をしているけど、下の名前「朗」の読み、ずっと「あきら」だと思ってたら「ろう」なのね。ちっくしょう、オレのようなクサレ低能のちんぽ吸い野郎には思いもよらなかったぜ。
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へびをふむをよむ [読んだ本 / 好きな文章]


蛇を踏む (文春文庫)

蛇を踏む (文春文庫)

  • 作者: 川上 弘美
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1999/08
  • メディア: 文庫

また例によって半口開けながら暇つぶし用の本を探していたときに、古本屋で何となく目にとまった一冊。作者も知らないし、特段好きそうなテーマでもなかったけれど、最近新しめの人(?)を読んでなかったし薄くて読みやすそうだしって軽い気持ちで買って読んでみたらアラ面白い! いや、面白いというよりは、その文体ないし筆力にびっくりしたというほうが正確かな。短編が3つ収められていて、そのどれもがファンタジーっぽいというか非現実的な部分が混じっているのだけど、現実と非現実の境目がすんごい曖昧。話を読んでいて、こちらが気づかないうちに「向こう側」に連れていかれていて、そのタイミングは下手すると一文の途中で切り替わっている。しかもシームレスに、きわめてなめらかに。いま気取った横文字使っちゃった、サーセン。ともあれ、そう、「なめらか」っていう言葉がぴったりで、この人の書く日本語すげえス。なにか賞でも獲っていないのかしらと思うと、第115回芥川賞を受賞。やっぱりね。つうか、芥川賞のことは裏表紙に書いてあったから買う前から知っていた。再度サーセン。改行せずに読みづらくて、みたびサーセン。
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モア・ザン・ヒューマン [読んだ本 / 好きな文章]


人間以上 (ハヤカワ文庫 SF 317)

人間以上 (ハヤカワ文庫 SF 317)

  • 作者: シオドア・スタージョン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1978/10
  • メディア: 文庫

「電車とかバスの中で他人がカバーをかけて読んでいる本が何なのか気になる」という、キモすぎる自分の粘着体質をこないだ告白しましたけど、さらに言うなら、ある作品の中で出てくる本っちゅうのも気になる。例えば、確か松本大洋の漫画『花男』の中で、主人公の少年が中勘助の『銀の匙』を読んでいるっていうコマがあって、それをきっかけに『銀の匙』を読んでみたことがありました(ただし途中で挫折(いつかもう一回読んでみるかも))。

DSC_0088.JPGこの『人間以上』もそうで、昔すごく流行った『ドラゴンヘッド』という漫画の中で、登場人物の一人(確か脱走してきた自衛隊員)がこの本を読んでいるというコマを見たのがきっかけで、その漫画を愛読していた当時に買って読んでみました。けど、これまたやっぱりわずか数ページで放り出したのを覚えています。文体にどうしても馴染めなくて。

ただ、それを売り飛ばすことは無しに部屋のダンボールに監禁&放置プレイ、長いあいだ気になる存在ではありました。だってこの表紙だよ?アマゾン様のアフィ画像によると、いま売られている版はアニメチックな絵に替わっているみたいだけど、旧版のほう、ヤバすぎでしょ。古本として売ったら確実に呪われる。

ここで裏表紙からあらすじを飲尿、ちがう、引用。
「悪戯好きの黒人の双生児、生意気な少女、発育不全の赤ん坊、そして言葉さえ知らぬ白痴の青年。かれらは人々から厄介者として扱われていた。しかし、かれらはコンピューター顔負けの頭脳、テレパシー、テレキネシス、テレポーテーションなどの能力をもつ超人だったのだ!それぞれが無駄に使っていた超能力も五人が結集すれば、人類を破滅にみちびきうるほどの恐ろしき力となるのだ……。ミュータント・テーマの傑作長編」
ということです。ふー。

そして今回。『ドラゴンヘッド』を読みふけっていたあの頃から約10年の時を経て、古今東西のあらゆる書物、否、目に入る文字という文字を貪欲に吸収し、日夜研鑽を積んだビキ夫の読書力は飛躍的に向上し…てなかった! やっぱ、ちょう読みづれえ!

いちおう3部構成になっていて、その第1部の前半ぐらいを耐え忍ぶと結構面白くなってくる。続く第2部でさらに読みやすくなる。そして期待に胸をふくらませつつ第3部に突入すると、これまたチンプンカンプン! 最後は字面を目で滑らせる感じになっていて、内容を楽しむ感じではほとんどなかった。くはー、手強い。

読みにくい理由を考えると、いくつか思いつく。専門用語や独自の概念が出てくるSFっていうジャンルの特殊性とか、翻訳した本であることとか、日本語の初版は1978年らしいけど英語で書いてあるコピーライトを見ると「1953」とあってかなり古いこととか、そして、もちろんオレの読解力が低すぎることとか。とにかく文章がすんなりと頭に入ってこない。ガックンガックン進む車の助手席に乗せらているみたいで、お・お・お、このく・るまの、も・く・てきちはどこ・かね、きみ、も・うすこ・し、すむ・ーず・に、くら・っち・を・つな・い・でく・れ・たま・え。オエーッ。

ダークなSFは結構好きです。だから、好物のテーマなだけにもったいないなあ(何様!?)と思いつつ、一応最後まで目を通したよ。おんなじハヤカワの、おんなじ翻訳本の、発行がおんなじぐらい古い『1984年』を昔読んだ時は、読みづらいという印象は全くなかったように思うから、時代性とかジャンル固有の問題ではないかもね。たぶん自分のせいッス。読書力と読解力をもうちっと磨きたいですわー。どっかに研磨剤売ってないでしょうか?
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いつか別の著作も読んでみたいな [読んだ本 / 好きな文章]


パッチワーク・プラネット (文春文庫)

パッチワーク・プラネット (文春文庫)

  • 作者: アン タイラー
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1999/03
  • メディア: 文庫

たまに乗る「電車」なる交通手段において、あるいは同じくたまに乗る「バス」なる交通手段において、一緒に乗り合わせた周りの人がカバーをかけた本を読んでいるのを見ると、その中身が何なのか無条件にすごく気になるんスよね。その人の外見から勝手にその読書の好みを想像して、真面目そうな顔してるからきっと難しい本読んでんだろうなとか、可愛い子を見れば恋愛小説でも読んでいるのかなとか。なにその決めつけ。とにかく、目的地までの数十分間、私はイヤらしい視線を他人のブックカバーに向けながら、そんな妄想に一人ふけっているのです。変態ですね、わかります。

で、その延長(?)として知り合いが読んでいる本というのも気になるタチで、この本もそう。その昔に友だちが読んでいるのを見て、あらすじだけ読ませてもらったら少し気になって、本のタイトルと作者名をケータイにメモ、数年ごしでたまたま古本で見つけたので読んでみた。おまえ寝かせすぎ。

こないだ感想を書いた『夜になると~』とは違って、これは短編集ではなく普通の長編でしたけど、ぐいぐい読まされちゃった。身も蓋もない言い方すれば、冴えないオッサンのグズグズした内面が延々と描かれる本で、なるほど、すごくつまらなそうな話に聞こえるわりに、実際はアラ面白い。筆者のアン・タイラーっていう人を全く知らなかったけど、なめらかで上手い文を書くなあと思った。それともあれかしら、読んだ人がグズグズした内面をもつオッサンだったから面白いと思えたのかしら。たぶんその両方だわさー。
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また短篇集を読んじった [読んだ本 / 好きな文章]

夜になると鮭は… (中公文庫)

夜になると鮭は… (中公文庫)

  • 作者: レイモンド カーヴァー
  • 出版社/メーカー: 中央公論社
  • 発売日: 1988/01
  • メディア: 文庫


DSC_0083.JPGいったいいつ、どういうきっかけで買ったのか分からない本が段ボールの中から出てきたから読んでみましたのコーナー。

たぶん、レイモンド・カーヴァーっていう名前を「本好きがあげる好きな作家」としてよく聞くから一冊ぐらい試しに読んでみるかあ程度の動機で古本を買ったんだと思う。あと、村上春樹が訳してるってことは一応それなりの作家さんなのであろうみたいなことも考えたはず。

ふん、どの短編もなんていうことのない些細な出来事を描いているから、決してドラマチックな華やかさはないけれども、しみじみ読ませるじゃないのさ。あんまりギトギトしてない感じが好きな人は気に入りそう。

この記事を書いている現在、なぜかアマゾンの銭ゲバリンクにおいて画像が出てこないから自分で撮るものであるなり。
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